
証券口座を開設する方への参考情報提供を目的として、個人投資家の証券会社選択実態に関するアンケート調査を実施し、その結果を発表します。
調査サマリー
本調査により、実際に証券口座を開設・利用している投資家が重視した選択基準と、利用経験を通じて見えてきた重要ポイントが明らかになりました。これから投資を始める方への参考として、以下の4つのポイントが浮き彫りになりました。
- 「手数料の安さ」が最重要選択基準: 証券会社選択時に60%の投資家が「取引手数料の安さ」を重視しており、コスト意識の高さが顕著です
- 制度対応と商品の豊富さも上位基準: 「NISA・iDeCo対応」(48%)、「取扱商品の豊富さ」(35%)、「口座開設の簡単さ」(32%)が重要な選択基準として挙がりました
- 利用後に重要性を痛感する項目が判明: 「セキュリティの高さ」(選択時11%→利用後26%)、「システム安定性」(選択時7%→利用後17%)など、事前に重視すべきだったと感じる項目が明確化
- 新NISA制度が投資普及の最大要因: 投資開始のきっかけで「NISA制度を知って」が23.6%で最多、特に20代では36.7%に達しています
アンケート概要
- 総回答数:385票(男性:213人 / 女性:172人 / 未回答:0人)
- 調査方法:インターネット調査
- 調査エリア:全国
- 調査対象:個人投資家(20代:13%、30代:39%、40代:30%、50代:16%、60代以上:2%)
- 調査期間:2025年5月30日〜2025年6月6日
- 調査・分析:株式会社TAG STUDIO
回答者の属性
性別

性別 | 割合 |
---|---|
男性 | 55% |
女性 | 45% |
年齢

年齢 | 割合 |
---|---|
10代 | 0% |
20代 | 13% |
30代 | 39% |
40代 | 30% |
50代 | 16% |
60代以上 | 2% |
婚姻状況

婚姻状況 | 割合 |
---|---|
はい | 57% |
いいえ | 40% |
未回答 | 2% |
子どもの有無

子どもの有無 | 割合 |
---|---|
はい | 45% |
いいえ | 52% |
未回答 | 2% |
投資経験年数

投資経験年数 | 割合 |
---|---|
1年未満 | 8% |
1~3年未満 | 25% |
3~5年未満 | 21% |
5~10年未満 | 25% |
10~20年未満 | 15% |
20~30年未満 | 6% |
30年以上 | 1% |
資産運用開始のきっかけ

資産運用開始のきっかけ | 割合 |
---|---|
NISAの存在を知って | 23.6% |
家族・親族から勧められて | 12.5% |
Web検索やオンライン記事・比較サイトを見て | 11.4% |
友人・同僚など身近な人から勧められて | 10.1% |
SNSや動画・音声コンテンツで情報を得て | 7.5% |
老後資金や資産形成の必要性を意識するようになって | 7.5% |
投資関連の書籍・雑誌・新聞・専門メディアを読んで | 6.0% |
金融機関からの勧誘・案内を受けて | 5.7% |
テレビ・ラジオ・ニュース番組で取り上げられているのを見て | 4.4% |
ポイント投資や少額から始められるサービスを知って | 3.6% |
iDeCoや企業型DCで運用を始めて | 2.6% |
景気動向・金利低下・インフレなど経済環境の変化を感じて | 2.3% |
その他 | 2.9% |
投資目的

投資目的 | 割合 |
---|---|
老後の生活資金を準備するため | 53% |
税制優遇制度を活用するため | 42% |
日常の生活費・副収入を得るため | 40% |
配当・株主優待など安定的なインカム収入を得るため | 18% |
資産のリスク分散を図るため | 17% |
投資を通じて金融・経済を学ぶため | 15% |
子ども・孫の教育資金を準備するため | 14% |
FIREを目指すため | 13% |
インフレや低金利に備えて資産を防衛するため | 12% |
旅行・レジャーなど趣味の資金をつくるため | 11% |
将来子ども・孫などに資産を残すため | 9% |
短期売買益を狙うため | 8% |
退職金やまとまった資金を運用するため | 8% |
緊急時や不測の事態への備え | 8% |
住宅購入・リフォームなど大きな支出に備えるため | 6% |
結婚・出産などライフイベント費用を準備するため | 4% |
高額商品の購入資金をつくるため | 3% |
利用証券会社

利用証券会社 | 割合 |
---|---|
楽天証券 | 59.7% |
SBI証券 | 42.6% |
松井証券 | 8.6% |
野村證券 | 7.3% |
マネックス証券 | 6.8% |
GMOクリック証券 | 5.5% |
大和証券 | 3.6% |
三菱UFJeスマート証券 | 2.9% |
SMBC日興証券 | 2.1% |
DMM株 | 2.1% |
みずほ証券 | 2.1% |
moomoo証券 | 2.1% |
三菱UFJモルガン・スタンレー証券 | 1.3% |
ヒロセ通商 | 1.3% |
PayPay証券 | 1.0% |
その他 | 4.2% |
調査結果の詳細分析
証券会社選択で重視された基準の詳細分析

証券会社選択時の重視基準 | 割合 |
---|---|
取引手数料が安い | 60% |
NISA・iDeCoなど制度口座に対応している | 48% |
取扱商品が豊富 | 35% |
口座開設が無料・簡単 | 32% |
会社の知名度・信頼性が高い | 29% |
ポイント投資やポイント還元がある | 26% |
取引ツール・アプリが使いやすい | 25% |
自分の投資スタイルに合っている | 19% |
口コミ評価が高い | 16% |
家族・知人に勧められた | 15% |
セキュリティが高い | 11% |
サポート対応が良い | 10% |
キャンペーン・キャッシュバックが充実している | 9% |
システム障害が少なく安定している | 7% |
口座開設から取引開始までの日数が短い | 6% |
初心者向けの解説・学習コンテンツが充実している | 5% |
情報サービスが充実 | 4% |
その他 | 1% |
「手数料の安さ」が圧倒的1位、コスト重視の選択行動 証券会社選択で最も重視された基準は「取引手数料が安い」で60%(230人)が選択し、個人投資家のコスト意識の高さが明確になりました。投資において手数料は確実なマイナス要因となるため、多くの投資家が最優先で考慮していることがうかがえます。
制度対応と利便性が重要な選択要素 2位は「NISA・つみたてNISA・iDeCoなど制度口座に対応している」で48%(186人)が選択。税制優遇制度の活用を前提とした投資家が多いことが明らかになりました。3位の「取扱商品が豊富(外国株・投信・IPOなど)」(35%、135人)、4位の「口座開設が無料・簡単」(32%、124人)と続き、制度活用と利便性を重視する傾向が浮き彫りになりました。
信頼性とサービス面への関心 5位「会社の知名度・信頼性が高い」(29%、110人)、6位「ポイント投資やポイント還元がある」(26%、100人)、7位「取引ツール・アプリが使いやすい」(25%、96人)と続き、安心感と実用性のバランスを重視する投資家が多いことが判明しました。
利用経験後に見えてきた重要ポイント

取引後に重要だと感じた選定基準 | 割合 |
---|---|
セキュリティが高い | 26% |
取引手数料が安い | 19% |
取引ツール・アプリが使いやすい | 17% |
システム障害が少なく安定している | 17% |
サポート対応が良い | 14% |
取扱商品が豊富 | 14% |
ポイント投資やポイント還元がある | 13% |
自分の投資スタイルに合っている | 11% |
キャンペーン・キャッシュバックが充実している | 11% |
情報サービスが充実 | 9% |
初心者向けの解説・学習コンテンツが充実している | 8% |
NISA・iDeCoなど制度口座に対応している | 8% |
口コミ評価が高い | 6% |
口座開設が無料・簡単 | 5% |
会社の知名度・信頼性が高い | 4% |
口座開設から取引開始までの日数が短い | 3% |
特になし | 2% |
家族・知人に勧められた | 2% |
その他 | 1% |
選択基準 | 前順位 | 前割合 | 後順位 | 後割合 | 前後比順位 | 前後比割合 |
---|---|---|---|---|---|---|
セキュリティが高い | 11 | 11% | 1 | 26% | -10 | 16% |
システム障害が少なく安定している | 14 | 7% | 4 | 17% | -10 | 10% |
サポート対応が良い | 12 | 10% | 5 | 14% | -7 | 5% |
情報サービスが充実 | 17 | 4% | 10 | 9% | -7 | 4% |
初心者向けの解説・学習コンテンツが充実している | 16 | 5% | 11 | 8% | -5 | 3% |
特になし | 0 | 0% | 17 | 2% | 17 | 2% |
キャンペーン・キャッシュバックが充実している | 13 | 9% | 9 | 11% | -4 | 2% |
その他 | 18 | 1% | 19 | 1% | 1 | 0% |
口座開設から取引開始までの日数が短い | 15 | 6% | 16 | 3% | 1 | -3% |
自分の投資スタイルに合っている | 8 | 19% | 8 | 11% | 0 | -7% |
取引ツール・アプリが使いやすい | 7 | 25% | 3 | 17% | -4 | -8% |
口コミ評価が高い | 9 | 16% | 13 | 6% | 4 | -11% |
家族・知人に勧められた | 10 | 15% | 18 | 2% | 8 | -13% |
ポイント投資やポイント還元がある | 6 | 26% | 7 | 13% | 1 | -13% |
取扱商品が豊富 | 3 | 35% | 6 | 14% | 3 | -21% |
会社の知名度・信頼性が高い | 5 | 29% | 15 | 4% | 10 | -25% |
口座開設が無料・簡単 | 4 | 32% | 14 | 5% | 10 | -27% |
NISA・iDeCoなど制度口座に対応している | 2 | 48% | 12 | 8% | 10 | -40% |
取引手数料が安い | 1 | 60% | 2 | 19% | 1 | -41% |
「セキュリティの高さ」への認識が大幅に向上 実際に取引を始めてから「事前に選定基準に入れておけばよかった」項目では、「セキュリティが高い(2段階認証・不正補償など)」が26%(101人)で1位となりました。選択時に重視した人は11%(41人)だったため、実際の取引経験を通じて15%も重要性の認識が上昇しています。
「システム安定性」と「取引ツールの使いやすさ」の重要性を実感 「システム障害が少なく安定している」は選択時7%から利用後17%へと10%上昇し、「取引ツール・アプリが使いやすい」も選択時25%から利用後17%となりました。日常的に使用する機能の重要性を、実際の取引を通じて痛感する投資家が多いことが明らかになりました。
これから証券会社を選ぶ方への重要な示唆
事前確認すべき重要ポイント 今回の調査結果から、これから証券会社を選ぶ際には以下の点を事前に確認することが重要であることが明らかになりました。
(多くの投資家が重視)
- 取引手数料の水準と体系
- NISA・iDeCo等の制度口座対応状況
- 取扱商品の種類と範囲
- 口座開設手続きの簡便性
- 会社の信頼性と実績
(事前確認推奨)
- セキュリティ対策の充実度(2段階認証、不正利用補償、個人情報保護体制)
- システムの安定性(過去の障害履歴、メンテナンス頻度、障害時の対応体制)
- 取引ツールの使いやすさ(デモ画面での操作確認、スマートフォンアプリの機能性)
- サポート体制(問い合わせ方法、対応時間、初心者向けサポートの充実度)
- 情報提供サービス(投資情報の質と量、学習コンテンツの充実度)
段階的な証券会社選択のすすめ 調査結果を踏まえると、まずは手数料やNISA対応などの基本的な条件で候補を絞り込み、その後でセキュリティ、システム安定性、ツールの使いやすさなどの実用面を詳細に比較検討することが効果的といえます。